校長挨拶

歴史と伝統

 本校は、県下随一146年の歴史と伝統を誇る水戸第一高等学校の附属中学校として、令和3年4月に開校しました。令和6年4月には、第1期生80名全員が水戸第一高等学校に進学したところです。
 水戸城本丸跡の高台、舌状台地の先端に立つ学び舎は、水戸駅から徒歩10分ほどの便利な都市部にありながら、豊かな自然が維持され、生徒たちは近年美しく整備された「水戸学の道」を通り、安土桃山時代の建造物と推定される「薬医門」をくぐって、日々気持ち新たに通学しています。

 

イノベーション

 本校では、チーム担任制によるきめ細やかな生徒支援、全員参加によるシンガポールでの海外研修、熱心に問いを重ね、身近なことに引き寄せて考える「切問近思」の力を高めるディベート学習、多様な運動部・文化部活動に参加できる体験型部活動、夏季課外講座など、先進的な教育システムを導入しています。

 さらに昨年度より、米・中二方面に生徒を派遣する「米中派遣」、最前線の研究者に最先端の研究内容を講義いただく「文理・融合講座」、公共的・公益的な活動を担うリーダーを招いての講演や国会・霞が関での研修を行う「パブリックリーダースクール」、社会の第一線で活躍するトップランナーとの「キャリア探究対話」など、様々な取組を高校と合同で開始しました。

 また、教室のみならず、体育館や学習館(自習室)を含め、校内全域に高速Wi-Fiを整備したり、遠隔講義配信システムを導入したりするなど、施設・設備の刷新も進めています。

 授業の改善・充実を図ることはもとより、上記のような先進的な取組を通じ、社会の変化にキャッチアップするだけでなく、「天下の魁」となって社会に変革をもたらすことができるトップリーダーの育成を目指します。

 

バランス

 明治41年(1908年)に定められ、校歌にも高らかに歌われている水戸第一高等学校の「校是」が「至誠一貫」と「堅忍力行」。「学問第一」を旨とする知性のみならず、裏表のない誠実さと、最後までやり抜く力の育成を重視してきました。本校も、この校是を踏襲しています。

 裏表のない誠実さや、最後までやり抜く力は、数値では表せないものの、豊かな人生を送り社会で活躍するうえでカギとなる「非認知能力」として、近年世界的にも注目を集めています。

 明治以来、百年以上受け継がれてきた校是の価値を再認識しつつ、生徒の知・徳・体、認知能力と非認知能力をバランスよく高めてまいります。例えばその一環として、昨年度より、医学・心理学の専門家を招き、最後までやり抜く力を高める「GRITセミナー」を春と冬の年2回、実施しています。

 併せて、新たに設置した相談室、面談室も活用しつつ、生徒が授業、学校行事、委員会活動等にバランスよく取り組み、「一張一弛」で充実した学校生活を送ることができるよう、支援してまいります。

 

協働

 生徒の自主・自立の精神を最大限尊重する、自由な校風が本校の特色です。高校と合同で実施する二大行事「歩く会」と「学苑祭」、全校挙げて毎月開催し自由討論等を行う「生徒集会」をはじめ、様々な学校行事や委員会活動等を生徒たちが協力しあいながら、自主的に企画・運営しています。

 このような生徒主体の活動を一層奨励していくとともに、本校独自の「+4学年活動」(中1と高3、中2と高2、中3と高1の合同での活動)や、高校教員による特別授業など中高協働での取組や、駅伝大会など中学独自の行事を積極的に進めてまいります。

 さらに、自らの足元である水戸城の歴史や地理、自然、文化、城址から巣立った先哲等について探究するとともに(ルーツ探究)、それらの成果をもとにした校内ガイドツアー「水戸一の道」を、生徒が案内役となり、地域の方々や国内外からの観光客等に対し、梅まつりの時期等に実施するなど、開かれた学校づくりにも取り組んでいるところです。

 

いばらき

 以上、水戸第一高等学校と密接に連携しつつ、イノベーション、バランス、協働、略して「いばらき」をキーワードとして、地元茨城、日本、そして世界を背負って立つ若者をしっかりと育成・支援してまいります。

 本校の教育活動へのご理解とご協力を切にお願い申し上げますとともに、志ある小学生の皆さんが本校の門戸を叩いてくれることを心より歓迎いたします。

 

令和6年4月1日 校長 御厩 祐司